市町村長特別セミナー(その4 2040年問題に備える)

大屋誠

2018年10月27日 15:43

特別セミナーの講義も最終となりました。最後に「2040年問題に備える」というテーマで日本私立学校振興・共済事業団理事長、慶應義塾学事顧問の清家篤(せいけあつし)さんから講義を受けました。
団塊の世代が後期高齢者を迎える2025年問題というのはよく聞きますが、2040年問題とはズバリその団塊の世代のジュニアが65歳を迎える時に直面するいろいろな問題のことを指します。
清家さんから「今の人口構造ピラミッドで示すと二つ山がある。一つは1947〜49年とその前後1、2年を団塊の世代、その時には年270万人が生まれていた。」また、「その団塊の世代の子供たちが生まれた1996〜98年頃にも約200万人生まれた。」という解説がありました。
しかしながら、団塊ジュニアの後にも第3のベビーブームは来なかったとのことで、団塊ジュニアが育ってきた環境が非常に厳しいものであったという分析をされていました。
人口が増えるということは、給与的な分配を考えると一人当たりの収入が減る、しかしながら同じ団塊の世代でも第一次の時には高度経済と重なったという事で右肩上がりに上がった。第2次の場合にはそうした経済成長期にはなく、就職も出来ず非正規の雇用者が増えた事により経済的に貧しい世代が生まれてしまった。と分析していました。
この就職生活最初のスタートの賃金が低かったため今でもそのまま推移して各世代別に比べても著しく低い状況が続いている。このまま高齢者となると年金も低い方が高齢者となる事で医療や介護などにも影響が出てくるとの指摘をされました。
年金は金で解決できるが、医療や介護は従事者がいなければ解決できない問題であるとの話は私が考えていたことと同じであり、まさにその通りであると思いました。
2025年問題は年金制度改革などで先の見通しが見えてきたが、2040年問題は今から取り組んでいかないと手遅れになり、貧しい高齢者が増えて支えられる人が増える中でさらに負担増になるという話がありました。
また、労働力も現在6600万人いるが、このままいけば2030年には2030万人となってしまい深刻な労働者不足に陥ってしまうとの指摘がありました。
そのためには、定年制の撤廃や女性や高齢者の就業を促進していけばまだ間に合うとの事でした。
そにためには企業に子育てと仕事が両立できる環境を作っていく必要があると話され、実際に取り組んでいる岐阜県中津川市の企業などの話をお聞きしました。
今までの全てのサービスを提供できなくなることがあるかもしれないことを伝えていく事も考え、個々の自治体としてのアイデンティティをしっかりと持つ事が必要だという言葉は考えさせられました。
また、高度技術者を一自治体で雇用することは難しい時代を迎えるので県から派遣してもらう事も必要になるかもしれない。行政のスマート化をしていくことが求められ、一部は徹底した機械化とともに、相談業務など本当に必要なサービスを重点的に行うなどの考えは全くその通りと思いました。

一泊二日の研修でしたが貴重な時間を頂きました。この研修の中身を住民の皆さんと情報を共有しながら進めることができればと思いました。

△講師の先生は撮影出来ませんので、アカデミーの建物を紹介します。お世話になった職員の皆さん全員が最後まで頭を下げてバスを見送ってくれました。心のサービス頂きました。感謝です。




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