砂防の願い(直轄砂防事業調整会議)

大屋誠

2023年07月06日 14:55

 5日午後から国土交通省多治見砂防事務所との直轄砂防事業に係る調整会議が開催されました。
 会議の前に直轄砂防事業を実施している十王沢上流の砂防堰堤工事の現場を視察しました。十王沢は昔は荒れる川として知られ、民話では町の近くに『十王堂』というお堂があったそうですが水害で流れ、名前だけが残ったという話が残っています。
 平成30年には流木を伴った土石の流出があり、砂防堰堤が下流域に出るのを防いだという事です。下流域には瀬木、上町、旭町という3地区がありますが、流木を伴った土石流の破壊力は凄まじいものがあり、よく全国の被災地現場の様子が伝えられています。
 流木の怖さは一旦閉塞すると次々にダムを形成するか、流れの方向を大きく変えて予期せぬ方向に流出することです。
 今回視察した現場はコンクリートで固めたダム型のものから、鋼管を使ったスリット式のものに変えようとしている箇所です。
 従来の川を堰き止めていた分厚いコンクリートに穴を開けてカットし、その後に鋼管を据え付けて行くという手法ですが、何ともダイナミックな工法です。
 現在は半分が鋼管に変わって来ていますが、3年前に同じ工法で進められていた大桑村伊奈川で建設中のスリットダムが半分しか出来上がっていなかったにも関わらず下流域への流木を止めたという事で大きな効果があったとお聞きしました。
△この右手上には荒田浄水場があり、いつも上から見ていますが、下に降りて来ると迫力があります。


△スリットの上部に下流域に向けて庇のように出ていますが、これは土石流が上部を超えて来た時にスリット鋼管の裏側に一旦入ると弱いのでそれを防ぐためのものだそうです。


△分厚いコンクリートをカットした傷痕。ちょっと見にくかもしれませんが、扇形の跡が見えます。