砂防を学ぶ(その3 木曽南部直轄砂防協議会総会・研修会)

大屋誠

2023年09月03日 14:21

 8月30日に当町のひのきの里総合文化センターにおいて木曽南部直轄砂防推進協議会総会・研修会が開催されました。
 昨年度から私が会長に就き、国により進めている木曽南部直轄砂防事業の推進を図るために大桑村、南木曽町と上松町の3町村でこの協議会を組織しています。
△総会の様子です。貴舟大桑村長の開会、私の総会挨拶です。新型コロナの影響で国関係省庁、国会議員への要望・提言活動はなかなか出来ませんでしたが、昨年から復活しており、今年も実施する事で総会において決定しました。




 木曽南部直轄砂防の要望を推進するに当たって特徴的な事は町村議員の皆さんも木曽南部土砂防災ネットワーク議員連盟を組織してともに活動している事です。この様に行政と議員がともに要望する形を取っているのは全国でも四国と当地区だけとの事ですがやはり地域全体でお願いしていくという事は要望を受ける側においても受け止めが違うと思います。
 この推進協議会は45年の歴史がありますが、この協議会の大きな成果の一つとしては、上松において平成元年に滑川に第一砂防堰堤が完成してその年の7月に大規模な土石流が発生して約50年は受け止めるといわれた堰堤が一夜にして埋められたというのがあります。
 この堰堤は昭和53年に滑川が直轄砂防に編入され10年という歳月を経て完成したもので、それがしっかりと受け止めてくれたという事で、今で言う“事前防災”というものがいかに大事であり、危機一髪の状態であったという事だと思います。
 その後、大桑村、南木曽町において越百川、ウルイ沢などで土石流が発生しており、特に平成26年7月の南木曽町梨子沢の土石流では中学生が犠牲となり、家屋全壊16戸、半壊損壊11戸の大きな災害となりました。
 この様に木曽南部3町村は危険と隣り合わせとなっております。
 この日は、国土交通省草野砂防部長さん、中部整備局高橋河川部長さん、同じく森下多治見砂防国道事務所長さん、大野全国砂防協会理事長さん、長野県建設部吉村砂防課長さん、地元の大畑県議会議員さんなど多くの皆さんに華を添えていただくとともに、後藤茂之経済再生担当大臣長瀬秘書にも出席いただき、お祝いの言葉をいただくとともに、研修会も砂防の現状と当地域の事業概要について講演をいただきました。
△講演の様子


 先日の那智勝浦町を訪問した際に、12年前に起こった土石流の爪痕が今なお残る現場を目の当たりにするとその怖さを実感しました。
 そんな話しをしたところ、「那智勝浦町と上松町はどんな関係ですか?」と尋ねられ、「友好都市です。」とお答えしたところ、「私と当時上司であった草野砂防部長さんがその折りに災害復旧に当たったので、今どうなっているのか行ってみたいです。」とのお話しをお聞きしました。
 不思議な縁もありますが、災害現場をいくつも見て来ている国土交通省の皆さんにとっても大きな災害は記憶に残っているものだと思いました。