里の春を彩る祭り(その1 小川里若連芸習い)

大屋誠

2024年04月27日 07:25

 26日夜7時、お招きいただいた小川里若連の芸習い(げいざらい)に出かけました。会場となる島コミュニティーセンターには既に多くの観衆がいました。
△会場の様子、この日は祭りを盛り上げようとキッチンカーも出ていました。


 毎年この時期に島地区を中心とした若宮神社例祭の前夜祭として行われます。稽古してきた獅子舞や若い衆の歌舞伎の芸題(げだい)を獅子狂言として上演します。
 芸習いで演じるのは女形は獅子が演じ、男役、立役(たちやく)は素顔で演じるのが小川若連の特徴です。日頃の顔と獅子狂言で真剣に演じている姿の違いに感心したり、笑ったり、違う一面を見た思いがします。
 小川若連は特に後継者の育成に力を注いでおり、小学生への稽古、女性の若連加入など画期的な事に取り組んでいます。これも若連への参加が少なくなって来た事を受けてのものと聞いていますが、地域の先輩から伝えられて来たものを大事にして行きたいという熱い願いがあってこそのものだといつも思います。
△獅子狂言の紹介




 町の無形文化財に指定されている『葛の葉』は安倍晴明(抱かれている人形)と狐が人間に化けた母との子別れの場面を演じたものです。人間から少しずつキツネの本性を表して子どもと別れなけれならない切ない場面が観衆を惹きつけます。
△葛の葉


△キツネが故に子どもへ別れを告げる文章も手で書けず口に加えて「恋しくば尋ね来てみよ和泉なる信田の森の恨み葛の葉」(実際の字は変体仮名です。)と書いています。最初は普通ですが、人間が書く文字で書けないので裏から見る「裏文字」、裏から見て更に横に読む裏横文字など説明するのが難しい文字を書いて行きます。
△障子との距離を慎重に見ながら


 なお、この実演を見たいと思う方は28日午前11時頃に奉納されますので、若宮神社境内に早めにお越しください。なお急坂ですので、歩きやすい靴がお薦めです。
 こうした地元に伝えられたものがいつまでも愛されて残っていって欲しいものです。