式年遷宮御杣始祭に向けての講演会(その1)

大屋誠

2025年04月18日 07:23

 17日午後、長野県神社庁木曽支部が主催して“第63回伊勢神宮式年遷宮御杣始祭に向けて”と題した講演会があり参加させていただきました。
 講演会の会場には平日午後という時間にも関わらず約70名の方が聴講されました。
 講演の冒頭に、普段の講演とは違い神社庁主催らしく国歌「君が代」斉唱、「敬神生活の綱領」の朗読が行われました。
△様子


△主催者の宮田長野県神社庁木曽支部長さんのご挨拶


 講演は伊勢市在住で伊勢神宮禰宜を務められ、第63回式年遷宮の奉曳団長の宮川清彦さん、木曽町日義で大工をされており、そして伝統的伐採方式を伝える“三ツ紐伐り保存会”会員でもある倉本豊さんの二名の方から講演をいただきました。
 宮川さんからは『ビデオと遷宮概説』と題して講演をいただきました。
△宮川さんの講演


 宮川さんから約1300年続いて来た伊勢神宮の最大行事であるが、戦後の天皇と宗教との関わりの宗教法人化を検討の中で大きな岐路に立った事などがあって現在に至っているとの話がありました。
 その時に、もしかしたら伊勢神宮をお詣りするにも今のように誰もが自由に参拝出来るものではなく、許可を得た方だけがお詣りするものに変わっていたかもしれないとの事でした。そうなれば今の観光客で賑わう伊勢もだいぶ変わったものになったと思いました。
 また5月2日に式年遷宮の最初の祭事である“山口祭”が神宮で行われ、その深夜に二番目となる“木本(きのもと)祭”が行われるそうですが、“木本祭”は今でも秘儀とされているとの事で神宮のビデオも最初の神職がお祓いを受ける場面で終わっていました。
 20年に一回でしかも秘儀とされる木本祭ってどういうお祭りなのか、果たして伝える人(神職)もいるのかなど興味がわきました。
 伊勢神宮式年遷宮に当たっては、三番目となる御杣始祭も含めて33のこうしたお祭りがあるとの事ですが、伊勢神宮というと内宮、下宮に代表されますが、その数は別宮、摂社などを合わせると125社にも及ぶそうです。その一つ一つが20年に一度全て建て替えられるのですから壮大な行事です。
 私たちが御杣始祭を行なって奉送したのは20年前ですが、何と全部の建て替えが終わったのはつい数年前だとか、そして直ぐに今年、第63回式年遷宮に向けて始まります。何とも悠久の時間を感じるお祭りです。
 また宮川さんは式年遷宮は『木のお祭り』でもあると述べられていました。
 今は、政治と宗教は分離していますが、伊勢神宮式年遷宮の始まりは壬申の乱で勝利を収めた天武天皇がご発意し、それを推古天皇の時代に第一回目が行われたという歴史があり、17条の憲法を定めた聖徳太子が生きていた、その時代は日本の中央集権国家としての礎を築いていく時代でもあり、日本という国の歴史を考察していくと、この祭事は日本を象徴するものと言っても良いと思います。
 長くなって来たので二つ目の倉本さんの講演は次回にお伝えします。三ツ紐伐りのとても興味深いお話をお聞きしました。

 
 
 

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