2018年10月27日

市町村長特別セミナー(その3 気象災害と共感のコミュニケーション)

近年の自然災害の発生は異常ともいうべきものがあります。そうした意味で今回のセミナーで一番お聞きしたかった講義です。
「気象災害と共感のコミュニケーション設計による防災」という演題で東京大学大学院情報学環特任教授であり、群馬大学名誉教授の片田敏孝(かただとしたか)さんの講義を受けました。
本年も含め台風が数多く発生している。これは地球温暖化により海水温が高く発生しやすくなっていることに加えて海の深い所まで熱いため普通は掻き回されることにより海面温度は下がるはずがエネルギーが常にある状態であることから次々に発生するというメカニズムの説明がありました。ここまでは今までのセミナー等で聞いた事があったものですが、恐らくこうした状況は50年から100年くらいは続くという予想には正直驚かされました。
また、気がかりはインドネシアで大地震が発生したが、太平洋を臨む範囲において今年8月から9月のわずか2ヶ月でマグニチュード6.5以上の地震が実に17回も起きているが、活動を注意していく必要があるとも述べられていました。
豪雨も従来は東北や北海道は霧雨のような雨が降るのが通常であったが、最近、住民の方から「しっかりとした雨粒が降ってくる」という情報が驚いたように寄せられているとの話がありました。
堤防などは100年確率で整備して来たが、それが効かない状態となっている。巨大な台風は過去には911hpaが測定上の記録だが、今後、850hpa超えという被害も想像も付かないものが発生すると言われている。こうした事を考えると今までの様に整備をいくらしても住民の生命を守る事ができないと力説されていました。
冒頭で講師は先のインドネシア地震災害の避難行動について触れました。「インドネシアは地震国で何度も津波に襲われており、住民は避難するという事は充分に分かっていました。しかしながら、避難をしなかった人たちがいたという事は、そこに家族がいたからであり、そうした人たちが危機管理に対する考えが甘いと言えるでしょうか。」と問いかけていました。
片田先生は、「今は専門家と住民、行政の間にギャップがある」と指摘されました。また、「戦後直後には約10年くらいは実は日本は毎年数千人規模で災害で亡くなられており、その人数は先進国の中で突出した犠牲者であった。その後、堤防の整備やダム建設などで百人前後に減らしてきた。と同時に住民は行政に自分の身を守る事を依存するようになってしまった。」と述べました。
また、マスコミの「何でも行政の責任にする報道姿勢はおかしい」、「避難してきた住民も、メシを用意しろなど“避難民様"となっている人もいる」など実際の現場を見てきた人ならではの厳しい指摘もありました。
この意見には私も住民と共に創っていくべき防災・減災社会を考える上で共感することができました。
「知識があれば逃げるのか、情報があれば逃げるのか、避難路・避難所があれば逃げるのか。人の心や社会との関わりを読み解いていく必要がある。」との指摘にも全く同感しました。
" 説得のコミュニケーション“から"納得のコミュニケーション“を築いていく必要があるとの意見や防災に当たっては【思想】をもって対処する事が今後求められるとの話は非常に参考になりました。

△講師の先生は撮影不可のためアカデミーの様子です。
市町村長特別セミナー(その3 気象災害と共感のコミュニケーション)







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Posted by 大屋誠 at 14:24│Comments(0)上松町
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